足立区には住宅の工事に使える制度が複数あり、なかでも住宅改良助成制度は上限30万円と金額が大きいため、「外壁塗装にも使えるのでは」とお問い合わせをいただきます。
先に結論をお伝えします。2026年7月時点で、足立区の公式ページに掲載されている住宅改良助成制度の対象工事に、外壁塗装・屋根塗装は挙げられていません。助成金額の表に記載があるのは、段差解消・手すり設置・トイレの変更・床材の変更・浴槽の変更・間取り変更・屋根の軽量化・作付け家具・耐震ドア・浴室暖房と、マンション共用部の工事です。
インターネット上には「足立区の助成金で外壁塗装ができる」と読める説明が見られることがありますが、区の公式ページの対象工事一覧には塗装工事の記載がありません。塗り替えをお考えの方が使えるのは、別の制度である省エネリフォーム補助金のほうです。
この制度で助成される工事の一覧
足立区の公式ページに掲載されている対象工事と上限額を整理します。
| 区分 |
工事の種類 |
工事種類ごとの上限額 |
| 65歳以上・要支援・要介護の方が世帯にいる場合は使えないもの |
段差解消工事(浴室を除く) |
3万円/箇所 |
| 段差解消工事(浴室部分) |
14万円/箇所 |
| 手すり設置(新規設置のみ) |
3千円/m |
| 和式トイレから洋式トイレへの変更 |
8万円/箇所(据え置き型は2万円) |
| 畳から滑りにくい床材への変更 |
6千円/㎡ |
| 要支援・要介護の方が世帯にいる場合は使えないもの |
浅型浴槽への変更 |
5万円/箇所 |
| 全世帯が対象 |
間取り変更(世帯人員が増加すること) |
1万5千円/㎡ |
| 屋根の軽量化 |
3千円/㎡ |
| 作付け家具の設置 |
6万円 |
| 耐震ドアの設置 |
8万円/箇所 |
| 浴室暖房の設置(新規・固定式のみ) |
3万円/箇所 |
| マンション共用部 |
手すり設置(新規設置のみ) |
3千円/m |
| スロープ設置 |
工事種類ごとの上限額なし |
| エントランス扉の変更 |
工事種類ごとの上限額なし |
出典:足立区「住宅改良助成制度」(更新日2026年5月15日/2026年7月20日時点)
助成額は「上限30万円」「助成対象工事費(消費税抜)の20%」「工事種類ごとの上限額」の3つを比較して、一番安価な額が助成されます。
※ 世帯の状況によって使えないメニューがあります。65歳以上の方がいる場合は高齢者住宅改修事業、要支援・要介護認定を受けている方がいる場合は居宅介護住宅改修へ、区の公式ページで案内されています。ただし屋根の軽量化は「全世帯を対象とするもの」に分類されており、この制限はかかりません。
屋根に関係するのは「軽量化」だけです
この制度で屋根に関係するのは屋根の軽量化(3千円/㎡)の1項目のみです。区の公式ページでは、「35kg/平方メートル以上の既存屋根材から35kg/平方メートル未満の屋根材への変更工事」と定義されています。
つまり重い屋根を軽い屋根に葺き替える工事が対象で、地震のときに建物にかかる力を小さくすることが目的です。今の屋根を塗り替える工事は、屋根材が変わらないため、この定義には当てはまりません。
※ ここは誤解が起きやすい部分です。区の公式ページの注意事項には、「屋根の軽量化では1平米あたり35kg未満の瓦は対象外となります。スレート瓦などの瓦は比較的軽量で対象外となることが多くあります」と明記されています。
スレート屋根(コロニアル・カラーベストと呼ばれるもの)は、もともと軽い屋根材です。足立区の戸建てで多いスレート屋根の場合、葺き替えても「軽量化」に当たらず対象外になることが多いとお考えください。対象になり得るのは、和瓦など重い屋根材からの葺き替えです。
では、外壁塗装・屋根塗装で使える制度は
塗り替えをお考えの方が確認すべきなのは、省エネリフォーム補助金のほうです。こちらは近赤外線領域における日射反射率が50%以上の遮熱塗料を使った屋根・外壁の塗り替えが対象になり得ます。
| |
住宅改良助成制度 |
省エネリフォーム補助金 |
| 外壁塗装 |
対象工事に記載なし |
対象になり得る(遮熱塗料) |
| 屋根塗装 |
対象工事に記載なし |
対象になり得る(遮熱塗料) |
| 屋根の葺き替え |
軽量化に当たれば対象 |
対象外 |
| 助成の上限 |
30万円 |
5万円 |
| 着工の考え方 |
内定通知前の契約・着手は対象外 |
足場を組んだ時点で着工 |
塗り替えで使える制度の詳しい要件と申請の流れは足立区の外壁塗装で使える補助金にまとめています。2つの制度は着工の考え方が違いますので、混同しないようご注意ください。
申請で気をつけること
住宅改良助成制度の順番(契約が先だと対象外になります)
1. 申請 工事の前に区へ |
→ |
2. 内定通知 ここが分かれ目 |
→ |
3. 契約 内定の後に |
→ |
4. 着工・完了 |
※ 区の公式ページに「内定通知前の工事着手及び工事契約は、助成対象外となります」と記載されています。※ 助成額が予算に達した場合は申請の締め切りが行われます。
- 契約は必ず内定の後に/区の公式ページに「契約は必ず内定後に行ってください」と記載されています。見積りを取るだけなら問題ありませんが、契約書を交わした時点で対象外になります。
- 施工者は区内業者のみ/区の公式ページには「施工者は区内業者のみになります」とあります。ただし新築建設当時の業者や、マンション共用部で管理会社が定めた業者などの一部例外があるとも記載されていますので、該当しそうな場合は区にご確認ください。
- 予算に達した時点で締め切り/受付期間は区の公式ページに明示されていません。「助成額が予算に達した場合は、申請の締め切りを行います」と記載されていますので、お考えの方は早めに区へご相談ください。
- 申請者と契約者の名前を揃える/異なると振り込みができないと案内されています。
区の公式に載っている算定例
助成額の計算がわかりにくいため、足立区の公式ページに掲載されている算定例をそのまま紹介します。これは区が示している例であり、当社の見積り例ではありません。
| 工事内容(消費税抜) |
計算 |
採用される額 |
| 浴室段差解消 80万円 |
80万円×0.2=16万円/工事別上限14万円 |
14万円 |
| 浴室暖房設置 14万円 |
14万円×0.2=2万8千円/工事別上限3万円 |
2万8千円 |
| 屋根の軽量化(60㎡) 150万円 |
150万円×0.2=30万円/工事別上限 60㎡×3千円=18万円 |
18万円 |
| 合計 34万2千円 → 助成上限額30万円のため |
30万円 |
出典:足立区「住宅改良助成制度」助成金算定例(更新日2026年5月15日/2026年7月20日時点)
この例からも、屋根に関しては「軽量化」=屋根材そのものを軽いものに替える工事が想定されていることが読み取れます。
制度についてのお問い合わせ先
足立区 建築室建築防災課 耐震化推進第一・第二係 電話 03-3880-5317
2026年7月20日時点の情報です。要件・金額・受付状況は変わることがありますので、詳細は必ず足立区の公式ページでご確認ください。
よくいただくご質問
Q. 住宅改良助成制度で外壁塗装はできますか?
A. 2026年7月時点で、足立区の公式ページに掲載されている対象工事の一覧に外壁塗装は挙げられていません。塗り替えで使える可能性があるのは省エネリフォーム補助金のほうです。詳細は区の公式ページでご確認ください。
Q. 屋根の塗装は対象になりますか?
A. 対象工事として挙げられているのは「屋根の軽量化」で、35kg/平方メートル以上の屋根材から35kg/平方メートル未満の屋根材への変更工事と定義されています。塗装は屋根材が変わらないため、この定義には当てはまりません。
Q. スレート屋根を軽い屋根材に葺き替えたら対象になりますか?
A. 対象外となることが多いと考えられます。区の公式ページの注意事項に「スレート瓦などの瓦は比較的軽量で対象外となることが多くあります」と記載されています。もとの屋根材の重さによりますので、区にご確認ください。
Q. 契約はいつすればいいですか?
A. 内定通知を受け取ったあとです。区の公式ページに「内定通知前の工事着手及び工事契約は、助成対象外となります」「契約は必ず内定後に行ってください」と記載されています。
Q. 区外の業者に頼んでも助成を受けられますか?
A. 区の公式ページには「施工者は区内業者のみになります」と記載されています。ただし新築建設当時の業者や、マンション共用部で管理会社が定めた業者などの一部例外があるとも記載されていますので、該当しそうな場合は区にご確認ください。
塗り替えで使える制度については足立区の外壁塗装で使える補助金を、遮熱塗装そのものの内容は足立区の遮熱塗装を、屋根を葺き替えるか塗るかの判断は足立区の屋根カバー工法・葺き替えをご覧ください。全体の進め方は足立区の外壁塗装おすすめ会社選びにまとめています。