塗料の乾燥方法の酸化乾燥の知識
塗装の原点ともいえる油性塗料におけるボイル油の乾燥のことを酸化乾燥といいます。
酸化乾燥とは塗装中に揮発する成分をもたずに塗装後に塗膜成成分が空気に接し、空気中の酸素と反応し、油類中の変性脂肪酸の二重結合部において酸化重合によって高分子化していくもです。
油性ペイントの仕上がりは、はけ目が目立ちあまりきれいではありませんが、厚膜な塗膜が得られるのは、揮発成分がほとんどなく、塗装した成分が塗膜として残るからなんです。
しかし、この乾燥は酸化反応が遅いため、最近の塗装現場の環境についていけず衰退していっている乾燥の方法です。
また酸化乾燥に対して、揮発酸化乾燥という方法もあります。揮発酸化乾燥とは、塗装中の成分に溶剤が配合されているもので、その乾燥は、塗料中の溶剤が蒸発し、その次の段階に塗料成分が空気中の酸素と反応して架橋された塗膜を形成したものをいいます。
この乾燥方法となる塗料は、溶剤の蒸発という物理的変化と空気中の酸素と反応する科学的変化の両者によって乾燥・硬化するもので、展色材を溶解している溶剤が蒸発し、次に、油変性に用いられている乾燥油中の不飽和脂肪酸が空気中の酸素と反応し、その分子が次々につながり固化していくものです。
この酸化乾燥めて次のあげる事柄を注意しましょう
これらにおける溶剤の蒸発も、酸化反応においても、いずれにも、温度条件が大きく影響し、特に、低温による酸化反応が極端おそくなり、硬化不慮を生じる危険性があるので、少なくとも3℃以下の場合は塗装を中止しましょう。また乾燥する過程において、溶剤が蒸発しただけでは、目視で乾燥した状態であって塗膜は形成されていません。この状態で次の過程の塗装をすると、塗膜が溶解したり、縮むなど欠陥が生じるので注意しましょう。
一方、乾燥・硬化が進行しすぎると、塗膜表面の硬度が上昇しすぎて、次の塗料との密着性が悪くなり、剝がれの危険性が出てきます。
この乾燥方法で塗装する場合は所定の塗付量以上に一度に厚塗りをすると塗膜内部の蒸発が不十分で表面だけが乾燥してしまい、塗膜表面にしわができてしまいます。
このような事柄を注意し重要な知識を元に施工するようにしましょう。