塗料の乾燥方法の分散粒子融合乾燥の知識
分散粒子融合乾燥で乾燥する塗料は、建築塗装において最も多く使用される合成樹脂エマルションペイントが代表的です。
合成樹脂エマルションペイントは揮発乾燥として分類されるものも多くみられますが、塗料中の水が乾燥しただけでは乾燥・硬化するものではありません。合成樹脂エマルションペイントとは合成樹脂が水に溶解した溶液の状態にあるのではなく、合成樹脂が0,5~1ミクロン程度の粒径で水中に分散し、乳化状態になっています。乳化状態にある塗料の乾燥は造膜するといった方が適当で粒子が連続して膜を形成しています。
最近は、ミネラルスピリットのごとく極小の小さい溶解力の低い溶剤に、アクリル樹脂粒子を分散させた非水エマルションタイプのNAD樹脂による塗料が開発されて多用されています。
このタイプの乾燥も合成樹脂エマルションの場合と同様で、溶剤が蒸発して、分酸している樹脂粒子が接近、融合造膜するものです。
水に分散している粒子はは均一に塗装された後、水が大気中に蒸発され始めると、粒子の濃度が高くなり粒子と粒子の間隔が狭くなり、粒子間が接近し始めると、次に粒子に存在する水が蒸発する際に粒子間に毛細現象による強い力を発生して、粒子と粒子が衝突して変形する。この変形が生じた場合に粒子は柔軟であれば粒子が衝突して粒子と融合することになり、連続した塗膜を形成します。
合成樹脂エマルションを展色材とした塗料の乾燥は、揮発と融合という物理的変化を2段階で行い塗膜を形成するために単に揮発乾燥に分類すべきではなく分散粒子融合乾燥とすべきでしょう。
このような事柄もふまえ、次の事を注意しましょう
水の蒸発、分散粒子の融合という物理的なプロセスは温度、湿度の影響を最も受け、特に、温度は水の蒸発と樹脂粒子の軟化を生じさせるためには重要であり、高いことが良好な結果をもたらします。また湿度は蒸発をうながすためにも低い方が良い。一般的には温度は3℃以下では中止しまし、湿度も85%以下の場合は中止しましょう。
合成樹脂エマルションは乾燥前の液体の色は透明ではなく、白色に濁った不透明をしており、塗装状態においては、この白濁が顔料にプラスしており、白色塗料の場合は塗料から塗膜になった時点でこの白濁が消え、顔料のみの隠ぺい力となり現象としては後ずけを生じやすく、また着色塗料の場合は塗料塗料より塗膜になった時点の場合、その色の塗料より濃色となるので、色を調合する際は十分に乾燥させて確認するようにしましょう。