錆止め塗料の様々な成分と知識
錆止め塗料の種類は多く、塗装業者としては、その選択が非常に困難を感じさせることも多いいです。
錆止め塗料は錆の発生防止、密着向上の効果を発揮させるのに用いる錆止め顔料によって分類されています。
大きく分類すると、鉛系の錆止め顔料、そうでない他の金属化合物に分けられます。
鉛系の顔料の錆止めの役割は、油性系の展色材とし反応して金属石けんを生成し、ち密な塗膜とし、アルカリ性にしてから防錆びすることから、塩基性防錆顔料といわれ、現在、錆止め顔料として最も使用されています。
クロム酸系顔料
一方、ジンククロメートによって代表されるクロム酸系顔料は、クロム酸イオンの防錆力を活用させるもので、ジンククロメートが水に溶けることによってクロム酸イオンになり、腐食過程に生じた鉄イオンと酸化反応し、堅固な皮膜を形成し、防錆び効果を発揮させるため一般にこれらは不動熊皮膜形成防錆び顔料といわれています。
しかし、鉛系やクロム系の顔料は公害問題を含んでおり、また規格の国際化という点から新しい錆止め顔料として、リン酸塩系顔料を用いた錆止め塗料が開発されています。
錆止め塗料で錆止め顔料が入った錆止め塗料と勘違いされやすいのが、酸化鉄顔料です。
酸化鉄顔料は、一般にべんがらともいわれ、一口に酸化鉄といってもその結晶構造などから、黒から黄色まであらゆる色を表現できるものがあり、錆止めもその中の一つの色ではありますが、酸化鉄そのものはなんら防錆び効果はないと理解しておきましょう。
ただし、酸化鉄のある種のものと酸化マグネシウム、酸化亜鉛などと組み合わせて複合酸化物系防錆顔料として用いる場合もあるが、基本的には酸化鉄自体は防錆び力がないため、顔料を選択する場合は、その複合化している他の防錆顔料の種類を知る必要性があります。
腐食成分の塗膜中への侵入遮断
一方、酸化鉄によって物理的効果で防錆効果を発揮するものがあり、これをMIOといい雲母状の結晶状をしたもので、これが塗膜内で重なり合って分散し、腐食成分の塗膜中への侵入を遮断する効果を示すものです。
最近では、重防食塗料として多用されています。この効果と同じ性能を発揮するものとしてルーフィングタイプのアルミニウム顔料をあげることができます。
その他、防錆顔料の種類として無公害化顔料の面から開発されている、ほう酸系防錆などもあげられます。