揮発乾燥の知識と注意点
塗装の乾燥の中で最も単純な揮発乾燥についてご紹介します。最近の建築物には外壁塗装などでもお馴染みのアクリル樹脂エナメルなどもこの揮発乾燥によるものです。
もともと代表的に使われていたのはラッカーエナメルや塩化ビニールエナメルが代表的だった乾燥の種類です。この乾燥は単純で塗料を塗装でによって均一に広げたた後に、塗装中の溶剤が大気中に蒸発して塗膜を形成するものです。ですので、塗装中の溶剤はその種類によって蒸発の速度が異なり、塗膜中に一ヶ月以上も残留するものも中にはありますが、実用上大きな問題もなく、施工上の管理は比較的しやすく、温度、湿度の関係で低温においてでも施工が可能です。
しかし、高湿度の施工は注意が必要です。高湿度時に施工する場合、塗装中の溶剤が蒸発する際に気化熱を求めるため、塗装表面の熱が奪われ、温度が急に低下しその表面が露点状態になり、大気中の質どが表面び結露が生じ乾燥過程の塗膜の表面の光沢低下や色むらが生じたりするブラッシング現象を起こす危険があります。
揮発乾燥形に用いる溶剤は、一般に溶解力の強い溶剤を用いられており、それには蒸発速度が早く、また毒性の強いものが多く、施工中において乾燥が早すぎる方法に制限が加わるものもあり、ラッカーエナメルのように最も速乾速度の速い塗料は、ある程度、乾燥速度のコントロールが要求されるため、はけ、ローラーなどによる塗装は困難で主にスプレーによる施工が多いいです。
また塩化ビニルエナメルの場合のように塗装方法によってシンナーを使い分けるものもあります。
溶解力の強い溶剤が配合されているので、下塗りに使用される塗料が油性系錆止めペイントのような場合は、上塗をすると溶解力の強い溶剤に侵され、縮み、ふくれなどの問題が生じる危険性があり、必ず専用の下塗りを使用しましょう。
揮発乾燥形の塗料は自然乾燥形の塗料の代表で常温乾燥形ですが、カーテンウォール部材などで加熱の可能な場合で、これらの塗料を用いる場合は、80℃から90℃程度の温度の強制乾燥する事により、塗膜中の残留溶剤がなくなり、早期に目的性能を発揮し、綺麗に仕上げることができます。